「税金ってなに?」
実際に行われているお金の流れをみると税金の役割が見えてきます
曹洞宗の和尚がよく唱えるお経は「修証義」です。開祖道元禅師のお言葉が凝縮され、一般の方々も理解 できるよう編纂されています。その冒頭に「生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」とあります。
これは、仏教者は「生と死」の道理を身体で会得することが大切であり、この根本を明らかにしなければ、 悩み苦しみから解放されないということです。政府のような経済政策に携わる方々がまず学ぶべきことは、 お金の生と死、つまり現実の社会でお金がどのようにして生まれ消えるのかの仕組みでしょう。
お金の現実の流れすら理解していないようでは、正しい経済政策を打てるはずがありません。
その年度の4 月から予算が執行されますが、その年度の徴税は、年度末に行われます。時系列で考えても、税金は政府の負債を返済し通貨を消滅させるもので、国家予算の財源にはなり得ません。それでは、税金の役割とは何なのでしょうか?
ここに、国家を人体に例えて栄養(お金)が回る仕組みを表したイラストがあります。(イラスト参照)
- ①徴税より先に政府が国債を発行して「無からお金を創り出し」政府支出をします。
- ②政府と銀行は国家の心臓でありポンプ役です。心臓(ポンプ役)である政府や銀行は、適切にお金を供給し、政府は法律や税制によって、なるべく血液(お金)が隅々まで行き渡るよう力強く稼働しなければなりません。
- ③お金は血液となり栄養となって、各々の器官(地方自治体・企業)や家計を巡り、企業は活発に稼働します。企業が得た利益から人々は給与をもらい、さらにそのお金でモノやサービスを買うことによって、身体(国家)が活発になります。
- ④人々がモノやサービスを買う力(筋肉)が強ければ、企業は儲けを目指して設備投資や人材投資をします。銀行は信用創造によってゼロからお金を創り出し、企業に貸し出します。そして賃金が増えれば私たちの預金が増えます。
- ⑤家計と企業の共栄で国家はますます活発になり、働く人々の力もみなぎってきます。私たちがモノやサービスを買う力(需要)が経済を引っ張ります。
- ⑥栄養が過剰になりすぎたり(過度のインフレ)、大きい器官(大企業)の一部にだけ栄養(お金)が集中すると身体(国家)の健康が損なわれます。そこで税金(排泄の手段)が登場します。栄養(お金)が過剰なところから税金を徴収し、お金という情報を消す(排泄)ことによって、身体(国家)の血(お金)の巡りを良くすることができます。
まず私たちが知るべきことは、政府支出が先であり、税金を納めるのが後であることです。そして税金の役割は、人体における排泄の役割のように、世の中のお金の流れを健全に調整すること(景気の調整や貧富の格差是正)にあります。入口ではなく出口、決して財源ではありません。どうやら私も含め、ほとんどの皆さんがカンチガイしていたようです。
生態系は、生き物たちが常に生滅を繰り返しながらダイナミックに存続しています。その中は、生と死の繰り返しによって健全に保たれています。
人体では、栄養が体中をグルグル回って身体の隅々まで行き渡るのと同時に、老廃物が身体の隅々から集められて排泄されるので、私たちは健康を保つことができます。
一カ所だけに栄養を偏らせても、身体は健康になりませんし、かえって不調になります。このように考えると、栄養バランスが適切に供給され、調整のための排泄がいかに大切なのかがわかります。それらの調和によって自然も生き物も生かされているのです。
世の中では、お金という情報が常に生滅(取引つまり需要によってお金が誕生し、返済によってお金が消滅します)を繰り返しています。約束が守られてお金が銀行に返済されるとお金が消えます。
お金と経済も、実は自然の掟に従って流れることが大切であることがわかります。世の中が健全に保たれるためには、私たち一人一人の意識においても約束を守ることが大切です。
なぜなら、お金は約束事によって生まれ、約束が果たされると消えるという仕組みになっているからです。
コロナ禍は、私たちに多くの事実をさらけ出してくれました。そして、多くの国民が経済政策への認識を変えつつあります。世界中を見渡しても、二十数年間国内総生産(GDP)がまったく成長せず、国民の実質賃金が15% 以上も下落している国は日本だけです。
見えてきたことは、国政に携わる方々、財務省のお役人、財務省に仕える御用経済学者、多くの政治家、マスコミ、経済評論家といったいわゆるエリートさんたちが、お金と経済をまったく理解しないで国家運営をしてきたこと、なぜかエリートさんたちが現実を見ることをしない反知性的な姿勢であることです。
しかも、いまだに現実に行われている現代貨幣の仕組みを勉強することすら拒否している。これらが過去20 数年間の日本衰退の根本原因でしょう。
なぜエリートさんたちは間違ってしまうのでしょうか。ドイツの社会学者マックス・ウェーバー(1864-1920)は、著書「官僚制的支配の本質、諸前提および展開」の中で官僚制を分析し、「組織は、効率性と合理性を徹底的に追求すると、かえって非効率で非合理なものになってしまうことが、往々にしてある」そして、「人間というものは、厳格に規則に従って仕事をしているうちに、規則に従うことそれ自体が自己目的化するようなことが往々にしてある。
規則は、手段に過ぎないのに、手段が目的に変換されてしまう」と、説いています。日本の多くのエリートさんたちは非常に優秀なはずですが、このジレンマに陥ってしまったのでしょう。財務省が主導する経済政策(本来は財政民主主義が憲法に定められている・これは憲法違反)が日本国を破滅に追い込むという、本当に恐ろしいことが進行しているのです。
私たちはどうすれば良いの?
今の経済政策は、お金へのカンチガイの上に行われています。もう気づきましょう!!
過去30 年間の緊縮財政は明らかに日本国を壊してきました。私たちも皆カンチガイしてきました。今ここで気づかなければ、私たちの子々孫々に大きな禍根を残してしまうのです。私たちが未来への夢と希望を創り出さなければならないのです。