正しいお金と経済のしくみを学ぼう!itile 正しいお金と経済のしくみを学ぼう!titilesp

正しいお金と経済のしくみを学ぼう
―お金は縁起ですー
30年間、日本はどうしてこんなに衰退したの?
経済政策について考えよう!!!

言葉:お金は無から生まれて消える「色即是空」

 お金は知れば知るほど本当に不思議な存在です。お金は私たちを幸福にできる反面、不幸に陥れることもあります。
お金は経済を回す血液のようなものです。そして実体は「モノ」ではなく、私たちの欲求を数字で表した「情報」なのです。このことを信用貨幣論といい、現代において実際に行われているお金と経済のしくみです。
輪王寺のテーマは「経寺悦民」(寺を治め民と悦びを分かち合う)としています。「経寺悦民」を実現するためには「経世済民」の実現が欠かせないとし、輪王寺に「正しいお金と経済のしくみを学ぶ」という部署を設置しました。
自分だけが良くなっても、まわりが良くならなければ社会は良くならない、をモットーに活動しています。従業員といっても小所帯ですが、各人に簡単な本やマンガなどを渡し、読むように勧めています。
 ある昼食時、輪王寺に勤める若和尚に、「本読んでるか?」と尋ねました。すると、「なかなか分かりづらいです」そして「般若心経に“不増不減”とあるじゃないですか。お金を“不増不減”と考えると、なんかお金のプールがあって、その範囲内でしかお金は使えませんよね」という。なるほどと思いました。彼の頭の中では、お金はどうしてもモノになってしまうのです。そして、お金の量に限界があると思ってしまうようです。
生まれてこの方、「お金」について考えたこともなければ、脳内に「お金=モノである」とこびりついてしまっているのです。私自身もそうでした。しかし、お金は約束事を数字で記した情報として捉えると、おもしろいことがわかります。数字は増えるけど、実体はなにも変わらない、なぜなら数字はデータだからです。約束事に実体はないのです。約束事は、大きくも小さくも無限に交わすことができます。
だから「不増不減」なのです。私は彼の疑問によってひらめきました。

お金のはじまり画像。海と山の人々の物々交換を説明。

 般若心経の有名な言葉に「色即是空」があります。色とは諸々の存在のことです。般若心経は、諸々の存在は即ち空であり、人々はそんなものに執着しないよう説きます。執着するから苦悩するのであって、そもそも存在自体が空なのだから、その必要もないと説きます。お金はそれ自体「データ」で、約束事を数字で記した情報です。
データに実体はありませんから、お金も「色即是空」なわけです。そのように考えると、なんとなくお金に対する考え方が変わってくるのではないでしょうか。そして、約束事は人と人をつなげる役割を果たすわけですから、縁をつなげるということです。縁があるからお金が発生し、縁がなければお金は生まれません。お金は数字というデータであるという正しいお金の見方をすると、お金は縁結びであり「縁起」そのものなのです。
仏の教えの根本にあるのは「縁起」の思想です。あらゆる存在は時間的空間的につながっていて、諸々の存在の相互作用によって世の中が成り立つという、自然の道理です。そこでは、私たちの意思が社会を良くも悪くもしてしまう大きな要因となります。お金は人間が発明した、社会にとって最も大きなしくみの一つです。その使い方によっては精神的物質的に豊かな世の中になりますが、お金のしくみについて間違えカンチガイしてしまうと、世の中が荒れてしまいます。
日本政府や財務省、そして経済学者とマスコミは、お金と経済のしくみを理解せず、間違った政策を取り続け、政府支出をケチりつづけました。
いわゆる緊縮財政です。そして消費税導入、度重なる増税により、日本は世界に類例のない長期のデフレーションに陥り、国力はひたすら凋落していきました。お金への無理解が日本国民の運命を変えてしまったのです。
日本はどんどん衰退しました。お金には実体がないのに、こんなにも世の中を変えてしまう力があるのです。

三つの毒「貪瞋癡 とじんち」が共同体を破壊する

 仏の教えでは、最初信者さんに実践していただくこととして「貪瞋癡の三毒から離れましょう」と説きます。
「貪瞋癡」とは、人間のもつ根元的な3 つの悪徳のことです。自分の好むものをむさぼり求める貪欲、自分の嫌いなものを憎み嫌悪する瞋恚、現実を観ないため本質がつかめないため、ものごとに的確な判断が下せずに迷い惑う愚痴の3 つで、人を毒するから三毒といわれます。三毒はすべての人々の心にあり、私たちの社会を脅かします。私はよく法話の時に、「三毒を100 消すことは無理でも、意識的に50 や20 にすることはできる。そうすると自分が楽になり、周りの人も楽になりますよ。なぜなら私たちの心はつながっているからです」と話します。

貪瞋癡を表す図。共同体を破壊する状況を表している。

私たちは本来無一物、この世に生まれたとき、その心は真っ白な状態で生まれてきます。ところが、大人になるにつれていろいろな知識や智恵を身につけますが、同時に欲望や執着心も身にまとうのです。「貪瞋癡」の3 つの毒は、私たち相互の信頼関係を壊します。コミュニティの信頼が壊れたとき、私たちはそのコミュニティ、大きくいえば国家を存続させることができなくなってしまうのです。政府の緊縮財政によるデフレ不況は、本来縁を結ぶための貨幣を、縁を破壊する方向へと導きます。どうやら私たちは、政府のお金についてのカンチガイから「貪瞋癡の世界」に突入しているようなのです。
 そもそもお金はお互いの信頼をつなぐ約束事から始まっています。約束事を書き記した借用書がお金です。
そこにはお互いの信頼関係が成り立ちます。顔の見えない誰かが一生懸命働いて作ったモノやサービスを、これまた顔の見えない誰かがお金を支払って買う。その間には、そのモノやサービスを運ぶ人、仲介する人、おびただしい数の人々が関与しています。これらの無限大と言っていい取り引きをお金という情報が介在しています。そのおびただしい数の人々が真面目に仕事をするからお金は生きるのです。
私たちの支払うという行為は、これらの人々を支えながら、自らの欲望を取り払うという考え方ができます。だからこそ、共に信頼し、感謝しなければならないのです。お金そのものが価値のあるモノであると勘違いしてしまうと、お金は私たちを狂わせる魔力を持っています。「今だけ、金だけ、自分だけ」とみんなが思った瞬間、おそらくその社会は崩壊する方向へと導かれます。なぜなら同じ共同体で支えあうことを放棄するからです。本来日本人は、約束を守り、勤勉に仕事をする民族のはずです。ここをしっかり押さえれば、日本はすばらしい国によみがえるのです。
日本のエリートさんたちに申し上げたい。お願いですから、「現代における正しいお金と経済のしくみ」を勉強してください。